Die deutsche Schule – ドイツの教育制度

ドイツ教育制度

ドイツ教育制度 ©2009 Björn-Ole Kamm

6月に行われた、一宮市国際交流協会主催の「ドイツ理解・ディスカッションセミナー」のセッションのテーマはドイツの教育制度と若者文化でした。参加者は、今回のニュースレターのトピックをご存知だと思いますが、教育に関心を持つ方が少なくないようであるため、あらためてドイツの教育制度を紹介したいと思います。
ドイツの学校制度はアメリカ・イギリスや日本での6・3・3制度とかなり異なっております。一つの大きな違いは、画一的なドイツ教育制度が存在していません。ドイツでは、教育は文化の一部と思われ、文化に関しての立法権が連邦ではなく、州に置いてあります。それゆえ、ドイツの教育制度は州によって少し異なっています。
日本と同じように、ドイツの子供たちが6歳の時に、入学し、4年間小学校で勉強します。小学校はドイツ語でGrundschule(グルンドシューレ)、すなわち基礎学校と称され、ドイツ語、算数等の基本的な教育が主眼点です。
ドイツでは、中学校と高校の区別がなく、基礎学校の卒業後に進学する学校は、生徒の才能に合わせた三つの種類があります。基礎学校の教師に課せられた課題は、生徒を観察し、生徒の能力・才能・態度や学習欲に合わせて進路を決定することです。教師がこの決定で失敗する場合もあり、生徒の学習欲が進学してからかわる可能性もありますから、5・6年生の段階で能力をもう一度観察し、学校の種類の変更を勧めるためのオリエンテーション段階のある州もあります。
基礎学校の後にくる学校は、5年間のHauptschule(ハウプトシューレ、基幹学校、15歳で卒業)、6年間のRealschule(レアールシューレ、実科学校、16歳で卒業)と8または9年間のGymnasium(ギムナジウム、18か19歳で卒業)であり、それぞれの学習内容や卒業後の進路が異なります。基幹学校では、卒業後、職人や会社の下で訓練を受けながら、職業学校で学びます。ドイツでは、職場と同時に学校でも訓練するという二元職業教育制度をとるのは特徴です。実科学校では、卒業後、中級卒業資格を得て、特殊な職業専門学校または専門上級学校を進んで、企業の管理事務職員または商売・サービス産業の従事者になることを目指します。「大学入学資格(アビトゥア)試験」というギムナジウムの卒業試験に合格すると、大学のいろいろな学科に進学ができますが、ギムナジウムの卒業生の中に、職業専門学校に進む人も少なくないです。
ドイツのギムナジウム等の高等学校では、語学・理科や社会の教科があり、特に歴史・政治についてや自然科学についての教育は重視されています。前に述べた基幹学校の生徒は英語を、実科学校生は英語とフランス語を勉強しますが、ギムナジウムの学生は、二つから四つの外国語を学びます。学習外国語は、英語、フランス語、スペイン語やラテン語が多いです。ラテン語以外の語学授業は、できるかぎり早い段階その言語で実施されています(例えば、高等学校の4年(~日本中2)からの英語の授業は英語で行われています)。ドイツでの教育、特にギムナジウムの教育の目標は、教師が授業で説明する内容の暗記よりも、その出来事または現象の脈絡を理解することと教師の言うことに対しての議論できる能力です。ギムナジウムは大学の予備段階として見なされているから、自分で調べる勉強方法や自分の意見を表現できる討論能力が重視されています。
さて、高等教育の次は、大学教育についてですが、ドイツの大学の中には、研究所や研究者の教育場として構造されている総合大学(Universität)やある専門分野に特化している(芸術)専門大学(Kunst- und Fachhochschule)があります。専門大学は、総合大学より具体的な勉強を重視し、学生は3年後卒業し、「学士」という学位を得ます。2004年まで、総合大学では「学士」がなく、全員の学生は「修士」を目指し、5・6年間勉強しました。2004・5年度に、総合大学改革が行われ、現在は総合大学でも3年の「学士」や2年の「修士」の制度が一般になりました。
ドイツの教育制度は他の国と比べると、厳しいと思う人もおり、進学決定制度が社会的に不公平だと考えられています。例えば、成績が良くなかったら、小学生でも同じ学年を繰り返し履修しなければならないし(原級留置)、親の社会経済的な地位(仕事の威信、給料等)が子供の進路に強い影響を与えていることが色々な調査で明らかになりました。不公平への対策(例えば、5時まで働いている社会人のための夜間ギムナジウム)がありますが、原級留置の制度を廃止しようとする政治家がいません。
日本では、高校まで留年をすることがないですが、皆さんは小・中学校での留年についてどう思いますでしょうか。

- ビョ-ン

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